家賃はいくら、生活費はいくら、貯金はあとどれくらいもつのか…。
適応障害で休職中の僕にとって、お金の不安は毎日の「儀式」みたいになっていたんです。そんなとき、必死でAIの勉強をしていました。「これさえマスターすれば、お金を稼げるはず」「成功すれば、この不安から解放されるはず」って。でも、勉強すればするほど心は満たされず、むしろ焦りと虚しさだけが膨らんでいく。
なぜだろう?答えは、精神科医の樺沢紫苑先生の言葉の中にありました。僕は「幸せの順番」を、完全に間違えていたんです。
「成功すれば幸せになれる」という、最大の勘違い

樺沢先生が教えてくれたのは、幸せには絶対に変えられない順番があるということ。それは「幸せのピラミッド」として、次のように積み上がっていきます。
- 土台:セロトニン的幸福(健康)
- 第2層:オキシトシン的幸福(つながり)
- 頂点:ドーパミン的幸福(成功)
僕は、幸せの順番を完全に無視して、いきなり頂点の「成功」だけを追いかけていました。土台がグラグラなのに、いきなり屋根を作ろうとしていたんです。そりゃあ、崩れるわけですよね。心も体もボロボロなのに、「AIを勉強して稼がなきゃ」って無理やり自分を追い込んでいた。
けれど、樺沢先生が警告するのは、ドーパミン的幸福には大きな弱点があるということ。それは「もっと、もっと」と際限なく求め続けてしまい、決して心が満たされないというこ僕の「お金を何としてでも稼ぎたい!」という焦りも、まさにこれだったんですよね。
友達とのおしゃべりが、地獄から救ってくれた
お金のことで頭がいっぱいで、毎日が真っ暗だった時期。正直、誰とも話したくなかった。でも、あるとき久しぶりに友人と話してみたんです。不思議なことに、何気ないおしゃべりをしているうちに、胸を押しつぶしていた重石が少しずつ軽くなっていくのを感じました。友人の「大丈夫だよ、大したことないよ」という言葉に、涙が出そうになった。
おしゃべりを終えた頃には「あ、何とかなるかも?」って、前向きな気持ちが芽生えていたんです。これこそが、樺沢先生が「最強の癒し物質」と呼ぶオキシトシンの力だったんですね。
おしゃべりが「薬」になる科学的な理由
人との温かい交流によって分泌されるオキシトシンは、「愛情ホルモン」とも呼ばれていて、心と体に即効性のある3つの恩恵をもたらしてくれます。
- 心拍数を落ち着かせて血圧を下げる
- うつ病の改善に不可欠なセロトニンの働きを活性化する
- 脳内で不安や恐怖を司る扁桃体の過剰な興奮を抑える
抗うつ薬よりも即効性がある?
抗うつ薬の効果が現れるまでには数ヶ月かかることもある。けれど、友達とのおしゃべりによって得られるオキシトシンの効果は、その場で感じられるほど即効性があるんです。

本当におしゃべりするだけで癒されるんですよ!
でも、「つながり」が必要なときほど、人に会いたくなくなる矛盾
でも、心が疲弊しているときほど「誰にも会いたくない」って感じるんですよね。僕もまさにそうでした。友達からのLINEを見ても、「今の自分は会う資格がない」って思って既読スルーしていました。でも樺沢先生によれば、これこそが回復を妨げる悪循環の始まり。
最も「つながり」という薬を必要としているときに、避けてしまう。砂漠で喉が渇ききっているのに、差し出された水を拒んでしまう。孤立することは、回復の鍵となるオキシトシンを得る機会を自ら断ち切ってしまう。このパラドックスこそ、メンタルの不調が長引く大きな原因の1つです。
悶々と1人でお金のことで悩んでいた時間は、まさに地獄でした。誰とも話さず、自分の頭の中だけでグルグルと同じ不安を繰り返す日々。暗闇から抜け出せたのは、勇気を出して友達と話したからでした。
孤独は、寿命を5年縮めている
「孤独が命を削る!?」って聞いたとき、正直ゾッとしました。樺沢先生が指摘する本当の孤独とは、単なる寂しさではありません。「本当に困ったときに相談する人がいない、本当に気遣ってくれる人がいない状態」を指します。そして、ある研究では衝撃的な結果が報告されているんです。
社会的に孤立している人は、そうでない人に比べて寿命が5年短くなると。
5年ですよ、5年。これは喫煙や肥満といった他の主要な健康問題に匹敵するほどの健康リスクなんです。つまり、孤独は感傷的な言葉ではなく、私たちの命を縮める「病」として捉えるべきなんですね。1人で部屋に閉じこもって、お金の不安に押しつぶされていたあの時間。
あれは単に辛かっただけじゃなく、文字通り僕の命を削っていたんだと思うと、本当に怖くなります。人とのつながりを維持することは、身体的な健康と長寿にとっても不可欠な要素。どんなに会いたくないときでも、信頼できる人との接点を持ち続けることが大切なんですよね。
今日から始める、幸せの「正しい順番」


樺沢先生の教えを知ってから、僕の価値観が改めて変わりました。もちろん、お金の不安が完全に消えたわけではありません。適応障害からの回復も、まだ道半ばです。でも、少なくとも「成功すれば幸せになれる」という幻想からは解放されました。
今の僕が大切にしているのは、まず健康という土台を整えること。朝、太陽の光を浴びて、リズミカルに歩く。これだけで、セロトニンが分泌されて心が少し落ち着くんです。AIの勉強は、体調が整ってからで十分。そして、友達との時間を大切にすること。
毎日少しずつでもいい、誰かとちゃんと話す時間を作る。人の温もりを感じることが、何よりの薬になります。AIやお金の話は、土台がしっかりしてからでも遅くない。いや、むしろその方が、達成したときの充実感は比べ物にならないくらい深いものになるはずです。
あなたの土台は、今どんな状態ですか?


もしあなたが今、「成功しなきゃ」と焦っているなら、一度立ち止まってみてください。
- 健康状態はどうですか?
- ちゃんと眠れていますか?
- 朝起きたとき、体は軽いですか?
- 最近誰かと心から笑い合いましたか?
- 困ったときに相談できる人はいますか?
真に持続可能で、満たされた幸福は、成功という屋根を支える強固な土台があって初めて成り立ちます。土台とは「健康(セロトニン)」と「つながり(オキシトシン)」です。次の大きな目標を追いかける前に、あなたの健康とつながりの土台を築くためにできる、たった一つの小さなことは何ですか?
僕の場合は「友達に電話してみる」でした。あなたの「一つ」は、何ですか?
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